その四
佳佑は、午後7時前に永田町に到着していた。
井藤は五分遅れで到着した。
佳佑は人には怒らない。
人に怒っても虚無感を感じるだけだ。
3年前に、妻子を交通事故で亡くしてから、怒らなくなっていた。
同窓会の席上では、思い出よりも、人脈探しに終始していた。
他のクラスの吉川という人に話すきっかけが出来た。
吉川は佳佑と逆で体格が良く大柄で声も大きい。
同じネットワーク屋だが、
外資系企業でネットワーク機器メーカー
のバイヤーをしているらしい。
今日ハノイ(ベトナム)から帰国したばかりだという。
普通なら出席しないが、片思いの機器に会いに来たという。
但し、相手は結婚済みで子供が二人いたという。
同じクラスの男性と結婚済みであった。
名は池尻夫妻という。
吉川曰く「家族ぐるみの付き合い」を約束したらしい。
佳佑は、そんなのありか?と思いながら、
ふと、昼間のニュースを思い出した。
佳佑が問いかけた。
「吉川さんは、ハノイからどうやって帰国したのだい?」
吉川が答える。
「シンガポール経由で成田だよ」
佳佑が、いぶかしげに、昼間のニュースの内容を、吉川に話した。
吉川は、少し驚いた様子で曰く
「成田到着は普通通り、出国が規制されていた。
ストライキは、無かったなぁ〜」
(続く)









